「 強く握られた拳 」
世界を呪って
死んでいく人がいる
世界を憎んで
死んでいく人がいる
世界に笑顔を見せて
死んでいく人がいる
世界に光を残して
死んでいく人がいる
強く握った拳のやり場を探している
その拳の行く末が
きっとそこにつながっている
その人の悲しみや苦しみの闘いを
私は知らない
《 ベルフラワー 》
知らないことが
たくさんある
声の聞こえない
あなたとの会話は
たくさんのことを
僕に教えてくれる
あたたかなこの時間も
あなたがもたらしてくれた
優美な青のベルフラワー
「 野良猫と夜の街 」
深夜の空気は どこか新鮮で 澄んでいる
人の息遣いの無い街を 一人歩く
誰もいない 孤独な世界が
僕を癒やす
一匹の野良猫が 唯一の友人
何を交わすわけでもない
静かな時間
少しの雨も
許してしまえる
小さなぬくもり