~おとしものがたり~

私の「おとしもの箱…」

「 星降る夜に 」

詩に合った曲を探してみました。
可能ならば、音楽を流しながら読んでいただければ幸いです。

 

 

星になった少年 Shining Boy & Little Randy / 坂本龍一

 

星降る夜に わたしはあなたと出逢った
月は欠け 海は凪いで
空を見上げるあなたの頬には 涙がつたっていて
わたしはそれを遠くから眺めることしか出来なかった

 

年を重ねて大人になった
ふたりで過ごした時間は あたたかく
多くを語ることはなかったけれど
不思議と通じ合っていて
物静かな わたしたちは 小さな
でも確かな愛を育んでいた

 

あなたと歩いたこの道も あなたと見たこの街の風景も
過去のものになり 変わりゆく街並みとともに
薄れ 懐かしさという感情になっていく
少しの悲しさとともに 日々を生きる


幻のように 眩しかったあなた
今は記憶でしか逢えない あなた
写真が苦手なあなたの 唯一の写真
これすら幻のような気さえする
 

命の灯火が消えようとする
その際にいるあなたの顔は
とても安らかで わたしを見つめ微笑んでいた
あなたはいつも こんなわたしを
暖かなその眼差しで見続けてくれていた
そんなあなたのあの日の涙の理由を
結局 最後までわたしは聴けなかった

 

あなたが去ってから
枯れるほど涙を流した
それでも月は満ち また欠けてゆく
今もあの日の光景が あたまに浮かぶ
かえらぬ日々 でも確かにここにあった感情
あの日のわたしは あなたのその涙の意味なんて知らずに
この場所に立っていることしかできなかった

 

星降るように わたしとあなたは出逢った
夜空の星は今日も 優しく輝いている
きっとあの星の1つとして あなたは今も 
暖かなあの眼差しで わたしを見守ってくれている
空を見上げるわたしの 頬には涙がつたっていた